【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



受け取った本は、マイナー過ぎるマイナーな……


つまりは、私と香川くんに共通した趣味でもある好きな作家の本。



3巻に渡るシリーズ物で、頑張って1、2巻は見つける事ができたけど最終冊だけはどうしても手に入れられなかった。


ネットで探そうにも原本の冊数は限られている上に、結構前に発行されたものである事から、そう出回ってなくて困ってたところ。


それが奇跡的にも書店に売っていて、それを自分の知った人物が即買いしたとなると、運命なんて根拠のない言葉も今だけは信じられる気がして。


柄にもなく、気分が高揚して頰が綻ぶ。



「あの、でも……借りてもいいの?」


「ああ、もう読んだから雑に扱われなけりゃ何も言わねーよ。
読むのトロいんだったら、別に無期限でいいし。返すの別にいつでもいい」


「……ありがとう…っ」


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