【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



嫌な予感が現実のものにならなければいい。


杞憂に終わってくれたなら良かったと。


そう、ほっと胸を撫で下ろした瞬間に――。





ぞわり、鳥肌が立った。


前触れもなく、本当に突然。


蛇か何かに体に巻きつかれて、身動きが取れなくなったかのような。


それはまるで、何かに射竦められたように。



なに……と、頭で理解するよりも先に反応したのは体のほう。


刺すような視線を感じて動けない……なんて。


そんな馬鹿な、って思うかもしれない。


当の私が、こんな事があるんだと納得して処理できるほど、冷静じゃないから。



そのあまり、順応する事なんて到底出来そうもない。


冗談なんかじゃない。


気のせいなんて言って、見過ごせない。


だって、私が……



私だけが知ってるこの感じが、どうにもその先に目を凝らせない要因になっているに違いないと薄々、勘付いていたから。



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