【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
1.
幼なじみ
私には、手放すことが非常に困難なコンプレックスがある。
母親譲りの薄いブラウンの瞳に二重まぶた。
高すぎず低くもない小鼻にぽってりした薄ピンク色の唇。
胸下までのふわっとした栗色の髪はもちろん地毛。
意思表示の上手くない性格は父親譲りだ。
口を開けば皮肉めいたことばかり……なんて事もある。
当然、直そうと思って直せるものじゃない。
だから私は大嫌いなんだ。
『美人でほんっとに羨ましいなあ!』
あなたも十分かわいいのに。
なのにどうして私が特別だって言えるの?
『あたしも藍名さんみたいな恵まれた顔があればなあー』
そう、なら交換してくれる?
差し出せるものならあなたにあげたいくらいなの。