【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
大きく吸い込んで息をすると、またさっきの熱は戻ってきて。
そしてまた、苦しんでもがいて、体を捩る。
何度も何度も。
繰り返し、繰り返し。
純くん……
一体、何を考えてるの……?
私を殺したいの……?
そんな訳ないって分かっているはずなのに、この時ばかりは上手く頭を働かせることができなくて。
気が遠くなるほど長い苦痛を味わい続けて、数分後。
ようやく鼻と口が解放される。
光が瞳に差し込んで、ぼやけた視界が眼前に広がった。
「げほっ、ごほごほっ……げほ」
だけど、助かった事に対する安堵感は微塵もなくて、身を丸めてひたすら咳き込む。
解放された喜悦に勝る恐怖は、恐ろしいほど私を蝕む。
睫毛を濡らす涙をそっと拭ってくれる優しい手つき。
いつも安心を与えてくれた柔らかな所作。
仰いだ先にあるのは、よく知った純くんの顔なのに。