【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
純くんの瞳を見返すと、その奥で暗く、くすんだ何かが揺らぎ出す。
乱れた心。
愛もない。慕情もない。何もない。
私なんかにここまで縋るなんて、可哀想。
だけどそれはお互い様。
沢山嘘を吐いて、嘲って、目を逸らして。
ああ、やっぱり共犯なのかな、私達。
ぞくりと全身に、針のように刺さる寒気。
それは、鋭く見据える純くんの視線。
そんな目をして今、何を思ってる?
理解できない身の上と、どうでもいいような質問をしながら、何故だか私は問いかけていた。
「……ねえ。純くんは、私の事をどう…思ってる……?」
発した声は思いの外に掠れていて、震えていた。
おかしいな、怖くないって錯覚しそうになったのに、やっぱりダメだ。
「慈しんで沢山愛でてきた大切な子……だよ」