【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
私はいらないし、欲しくない。
望まないものを一方的に与えられて、嬉しい訳がないじゃない。
ここまで劣等感を抱いてしまうと、常に周りは困ることばかりだ。
今みたいな状況なんて、まさにそれを決定付けている。
「ま、前からずっと藍名先輩が気になってて……えと、あの…つまり…す、好きなんですっ!
付き合ってください!」
…きっともう、誰でもお分かり頂けるだろう。
それは、そう。こういう状況だ。
放課後に呼び出しを受けてついて行ったら、まあ案の定というか……
顔を赤く染めて、一世一代とも言えそうな告白を目の前の下級生男子から受けている。
まったく、どうしたものか。
十分すぎるほど経験したそれを、ウンザリしたように場の流れに任せて考える。
好きな人……は、いないし。
年下が好みなわけじゃない。
ああ、もう……本当に嫌になる。