【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。
2.

一度死んだ日





暗くて広い空間。


辺りを取り巻く気泡のような丸い物体が歪に形を変えながら飛んでいる。


ゆらゆら、ゆらゆら。


手を伸ばしたら、触れる前に気泡は弾けて消えた。


ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ……



数えきれない、宙を浮くそれらは目の端から順にまた、消えていく。



ここは、どこだろう。


誰もいない。誰も、みんな、私も。



……私、も…?


あれ、どうして……


ある疑問にたどり着いた時、気泡の数が残り僅かとなった。



何だったのかな。


私……なに、考えてたんだっけ…。


脳に真新しい膜を覆い被せられたような感覚。


頭の中が妙にクリアになって、そして……



全部が弾けて、失くなった。


……見えなくなった。





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