【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。




―――――――

―――――




……あれ、と。覚醒してすぐに思った。


気付くと私は仰向けに倒れていた。


起き上がって右、左と首を動かして視界を広げてから、その解釈に訂正を加える。


倒れていたんじゃなくて、ただ寝ていただけ。



スプリングがあまり効いてない、硬めのベッド。


波打つような皺の寄った、ざらりとした感触の白いシーツ。


少し軽めの掛け布団を体からずらした。



おかしな夢を見ていた気がする。


覚えているけど、どうにも変な夢を。


ええと、何だったかな…。


寝起きの所為か、ぼんやりとした思考のままに床に足をつくと、あまりの冷たさに身を竦めた。


ぶるりと体を震わせて、脇に置かれたスリッパに足を忍ばせて立ち上がった。


それにしても、ともう一度部屋を見回す。


< 96 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop