【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。



カーテンの締め切られた窮屈な空間。


まるで病院みたい。


「……もしかして、本当に……?」



言葉にしたら普通だけど、口から飛び出したのは、どれだけ声を出していなかったんだろうと思うほどに掠れた独り言。


何がどうなったのかと眉根を寄せて思考を巡らせていると、ドアの開く音と共に、「朝の健診のお時間ですよー」という一瞬で目が醒めるような涼やかな声が入ってきた。


カツカツ、という足音が近付いてきて、周りを覆っていたカーテンが揺れて、年若い女性が顔を覗かせた。



「あら?」


何処となしか驚いているけど、大げさに態度に出たりはしなかった。


余裕の微笑を浮かべるほど。


穏やかで徳行した、なんとも淑やかな人だ。



そんな事を思っていると、看護服を着たその人は現状を説明してくれた。


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