【改訂版】キスはする。それ以上も。けど、恋人じゃない。





「息を吸って……吐いて……次は背中ね。
……はい、もういいですよ」


急遽、先ほどの看護師さんが連れてきた医者の先生に私は、診察を受けていた。


相手は一応男性で、私も年頃の女性ということで聴診器は服の上から軽く当てられて、確認されただけ。


本当に名目上の軽い診察だけど、その間にもいくらか質問をされた。



しばらく悩ましげに眉を寄せたのち、先生はおもむろに口を開いた。


「脈拍に異常なし。体調も平常通り。しかしなあ……」


「……?」


思う所あり、と言いたげな表情。


何か、と疑問を隠さず顔に出す私に、先生は切り出した。



「単刀直入に言うと、君の体はここに運ばれてきた時点で限界だったよ。事故による外傷はそれほどではないのに、器官のほうが酷く損傷を受けていてね。
爛れて傷付いた胃が、あと少し発見が遅ければ貫通していたかもしれないところまで迫っていて、正直かなり危険な状態だった」


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