桃の花
「まだ、学校にはつかないの?」
「…お嬢様、まだ5分しかたっていません。」
幼い頃歩いた道は、背が伸びた分小さく見えて楽しかった。
「あっ、ブチ!」
「お嬢様‼︎」
私はコンクリートの塀に駆け寄る。
その上には私が幼い頃、一番好きだった猫がいた。木戸と一緒にブチの名ずけ、可愛がっていたのだ。
私が倒れてからは、木戸から報告してもらっていたけど、会うのは久しぶりだ。
「久しぶりだなぁーブチ!相変わらずお腹ぷよぷよだな!」
「良かったですね、ブチと会えて。」
「ああ!心配だったんだからなぁ〜‼︎」
目の上に筆で描いたような眉毛がチャーミングポイントだ。
そして、ブチのぷよぷよのお腹を触りまくる。
「ニャーーー!!」
「お嬢様、ブチが嫌がってますよ。」
「わかったっ、わかったからブチ怒らないで!」
そう言うと、ブチは塀から降りて何処かへ行ってしまった。
「お嬢様、行きますよ。ブチにはいつでも会えますよ。」
「……そうね。」
「ーーきゃっ!⁉︎」
「お嬢様⁉︎」
ブチの背中を見ながら歩いていたら溝に躓いてしまった。
ーーードサッ…
「あぶねぇー、あぶねぇー‼︎ あんた大丈夫?」
すると、痛くなかった…。