桃の花
ーーざわ…ざわ…
(……ちょっと、誰よあの子。)
(慎くんの隣なんか歩いて…⁉︎)
ーー先ほどから背中に鋭い視線を感じる。
なんと言うか、殺気のようなものだ。
「美琴、俺は職員室まで案内するから、帰りは迎えに行くまで教室で待ってて。」
「…帰りくらい一人で帰れるわ。」
「俺が心配なんです、ちゃんと待っててください。」
「ちょっと、敬語はなしよ!」
「あっ、すみ……ごめん。」
(あの子、慎くんのなんなの⁇)
(隣歩いて会話をするなんて、なんて図々しい女なの⁇)
私が慎と会話するごとに、その声は増し、殺気がより一層高まる。
「慎………、貴方って……。」
「なんですか⁇」
以外とモテるのね……ーーなんて言ったら貴方は私をからかうんでしょうね…。
「…なんでもない。それより早く行きましょう。」
(あの女、今さっき、慎くんの事呼び捨てにした⁇⁈)
(なっれ慣れしい女!!!)
通う学校を間違えたかしら……。