本当はずっと、好きだった。
「…すごい…!綺麗…!」
「…そうだな。」
打ち上がって行く花火を見上げながら
私は静かにそう言った。
…たくさん人が河川敷で見上げてる中
私たちは穴場スポットで
こんなに綺麗に大きな花火を見てる。
…これも要のおかげだね。
「要ありがとう、ここに連れてきてくれて。」
私がそう笑いながら
隣の要の方を向いて言えば
要もこっちを向いた。
花火の光で
要の顔がいろんな色に染められる。
そんな要を見ていたら
真っ直ぐに、要も私を見ていた。
「……沙織。」
(------えっ…)
普段あまり名前を呼ばない要が
私の名前を、静かに呼んだ。
…何で?どうして?
どうしてそんなに…切なそうな顔をしてるの?