本当はずっと、好きだった。





私は水道へ向かうどころか

途中にあった階段を降りて
下の階へ走る。






袖で一生懸命涙を拭いて

前を向いて走っていれば





不意に、足を止めた。







(……っ、あ……。)








遠目に

中庭へ出て行くための
外廊下が見えて。




そこに

春樹くんがいるのを見かけた。





---もちろん、女の子と一緒で。







(……はは、今日本当に運がない…。)







こんな時に、春樹くんのこと見るなんて。




要にさっき
こんな顔見られたばっかなのに-----







「…っ、要……。」







気づいた時には

思わず、そう呟いていた。






(……あれ…何で今、私…。)







要の名前

呼んだの………?








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