本当はずっと、好きだった。
素直に、君が好き。
少ししてから
私の視界を塞いでいた要の手が
そっと離れる。
それと同時に
真後ろに立っている要が
静かに言葉を発する。
「…勝手に避けて、悪かった。」
お前は悪くないのに
俺が勝手に、お前から遠ざかってた。
そう言って
静かに私に謝ってくる要に
私は思わず振り返った。
「違う!要は悪くない!
…私が…私が要から逃げてただけ…。」
…そう、私が…
春樹くんを理由に、要と向き合わなかった。
「私が要を…傷つけたの…ごめん…っ。」
私は要の腕を掴みながら
ぎゅっと握って
そのまま下を向く。
……ごめん、ごめんね要…。
「…沙織…。」
「…要、私ちゃんと決めたよ…。」
「え?」
「私……春樹くんと別れる。」