本当はずっと、好きだった。





追いかけて下に行けば、
泣いてるあいつがいて。



そばに近づくに連れて

泣いている理由がわかってしまった。







(------あそこにいんのは…)







あぁ やっぱり

あいつなんだな。







俺は遠目に見える
中庭に続く道にいる男女を見て

そう確信した。





…告白しても
関係が変わるなんて思ってなかった。




だから

こいつがあの春樹ってやつのために
涙を流してるのも、分かってる。







(……こいつが、諦めないのが自業自得。)







そう思う。

本当にバカな女だと思う。





でも



あんなに純粋に思い続けて

信じて待っては傷ついて

だけどやっぱり好きだと言うこいつに…








(傷ついて欲しくないなんて…
守ってやりたいなんて思う俺も、バカか。)







叶わない恋をしているのは

俺も同じだったな。








そう思いながら
遠目の男女を見ていれば


ついに




そこであいつらはキスをしてしまった。







(---------!!)







そこで俺は咄嗟に足を前に進めて


沙織の視界を

自分の手で、塞いだ。








「……見んな。見なくていい。」








これ以上


もう傷つかないで欲しかった。






ただ、それだけ。








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