本当はずっと、好きだった。
「か、要…ちょっと離れて…。」
「あ?嫌だ。
朝からこいつらにお前取られてんだ。」
こうでもしねぇと一緒にいられないだろ。
そう拗ねた口ぶりで
私の顔を覗き込む彼に
内心ドキッとする。
そんな私達のやりとりを見ながら
周りの子達が
クスクス笑いながら
空気を読んだように離れていく。
「東條くんって結構イケメンだね。」
「はは、確かに。
まぁでも……」
沙織しかあの不良には相手されないよ。
そう言いながら
「お幸せに〜!」と
皆から優しく祝福される私達。
…うーん、何か複雑。
「へぇー、俺結構イケメンだってよ。
どうする沙織?俺人気出たら。」
「っ……し、知らない。」
「…へぇ?良いんだ?
毎日女子に囲まれてベタベタ…」
「っ、やだ!」
私は要の言葉に
思わず振り返って
屈みながら私の後ろに立つ彼の
顔をバチッと
両手で挟む。
「…そんなの…嫌です…。」
「へぇ?…それで?」
「それで……その……。」
恥ずかしがる私に
ニヤニヤしながら言葉を待つ要。
うぅ…こういうところは意地悪なんだから…。
「…要は私のだから…
誰のとこにも…行かないでください…。」
私がそう小さく言えば
要は笑顔になって
私をぎゅっと抱き締める。