日野雄大はクラスで一番性格が悪い
「ねぇ、何のつもりなの?どうしてそんなことするの?無理矢理付き合ってもらったって、情けないだけじゃん私!馬鹿みたいじゃん!」
声を荒げるひかりに、私は何も答えられない。
そしてひかりは一呼吸置いてから、今度は小さく言葉を重ねていく。
「……それが優しさのつもりならね、はっきり言うけど、雪那の優しさは間違ってる。……私、そんなの望んでなかった」
それは、これ以上ない程の拒絶の言葉。
俯いた顔を、上げることができない。
私は下を向いたまま「ごめん……」と声を漏らした。
「……雪那はね、最低だよ」
ずきんと胸が傷む。
「目、瞑って」
ああ、ぶたれるんだ。
そう思ったけど、恐怖はなくて。
……そっと、目を瞑る。
ひかりが大きく手を振り上げたのを、なんとなく感じた。
次の瞬間、頬に鋭い痛み。
そのうちその痛みは、じんじんとしたものに変化した。
「一発叩いたらスッキリした」
ひかりのその言葉に、そっと目を開く。
ひかりは、優しく微笑んでいる。