日野雄大はクラスで一番性格が悪い


「普通の一軒家だけど」
「やっぱプールとか付いてるの?」
「ぷ……付いてるわけないだろ。医者っつってもうちも母子家庭だからさ」
「そっか。……あっ、私お母様にケーキとか買ってかなくていいの!?手ぶらだよ!」


日野雄大は、ぷ、と笑った。


「大丈夫だよそんなの。てかお母さんなかなか帰って来ないし。俺だってもう二ヶ月くらい会ってないしな」
「え……?なんで?」


しれっと言ったけれど、私には結構衝撃だった。


医者っていう職業だからというのもあるかもしれないけど、いくら母子家庭とはいえ、うちはお母さんと顔を合わせない日なんかないから。

二ヶ月も会わないなんて、あり得るのかという次元の話で。


「まあ忙しいんじゃねぇの。でもお金はあるから困らないし平気」
「ふーん……寂しくはないの?」


私は当たり前のことを聞いたのに日野雄大は不思議そうに首を傾げる。

もうそういう生活が当たり前だからそういう感覚が分からないのかな。

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