日野雄大はクラスで一番性格が悪い


……言っちゃった。


突然の爆弾発言に、日野雄大はぽかーんとしている。


「女の子から告白されて申し訳なさそうに断ってても、実際はめんどくせーって思ってるみたいだし」
「ラブレターも簡単に捨てれちゃうくらいだし」
「……煙草も吸ってるもんね?」


私は私が語れる限りの日野雄大の本性をつらつらと語る。

あ。本当に雨が収まってきた。
これは駅付くまでに止みそうだな。


「見てたんだ」
「見ちゃった」


日野雄大は先程のぽかーんとした表情ではなくなって。ただ無表情になった。

無表情で、冷たい声で、言い放った。


「……いくら、欲しいの?」


歩みを止めて、鞄の中から財布を取り出す日野雄大。やっぱりこいつの性格は終わってるらしい。


「口止め料くれって言いたいんだろ?いくら欲しいの?」


いつも通りの優しい笑顔を浮かべて、その表情には到底似合わない言葉を吐き出す。

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