日野雄大はクラスで一番性格が悪い
償いきれるわけがない
十二月中旬。期末テストも終わり、あとはもう冬休みを待つだけ。
俺の中で日野ちゃんの存在は日々大きくなっていく。俺は日に日に日野ちゃんが好きになる。
日野ちゃんにとってもそうであれば嬉しい。
「お邪魔しまーす」
日野ちゃんは誰も居ない俺の家にそう告げてから上がり込んだ。
階段を上がって俺の部屋へ向かう。
日野ちゃんが俺の家に来るのはもう何度目かだ。
今日は俺の部屋でテストの間違い直しを一緒にしたいらしい。
「あー、寒かったね!」
日野ちゃんはそう言うと、マフラーと手袋を取った。
「日野雄大、勉強机借りていい?」
「どうぞどうぞ」
「日野雄大は私の隣で教えるの」
俺は勉強机の横のベッドに座った。ここなら座りながら日野ちゃんの勉強が見れる。
日野ちゃんは机の上に、返却されたテストたちを広げる。
「取り敢えず数学からやるー」
「なぁ、どうやったら数学だけこんなに低い点が取れるの?」
「……だって」
「この問題とか、俺テスト直前に解き方教えてあげたやつだろ?なんで?」
普段ならこんなこと言えばギロリと睨まれて終わりだけど、日野ちゃんは数学に関してはそういうことを出来ないらしく。
俺がそうやって言えば、いつもしゅんと落ち込むだけ。
俺はどうもそれが好きで、そんな日野ちゃんを見たくて、性格が悪いと分かりつつもこういうことを言ってしまう。