日野雄大はクラスで一番性格が悪い


ちゅ、と音がした。いや寧ろ舐めた。


「なんでキ……いや、今の舐めたよね?ペロッて頬っぺた舐めたでしょ!?」


日野ちゃんは、大丈夫か?ってくらい真っ赤になってて、俺はゆるゆると頬が緩んでいく。


「うん。舐めちゃった」
「何平然と……!」
「いいだろ?付き合ってるんだからさ」


にっこり笑うと日野ちゃんがぐっと黙り込む。


真っ赤な顔のまんまで焦りながら間違った問題にチェックを付けていく日野ちゃんを見ながら、思った。

こんなにすぐ赤くなっちゃう日野ちゃんと、俺のネクタイを掴んで冷たく俺を見下ろす日野ちゃんが同一人物だとは。

……ギャップとは、正にこれだな。


そろそろやばい、俺。押し倒しちゃいそう。
……頑張れ俺。堪えろ。

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