日野雄大はクラスで一番性格が悪い


──俺の父親は、殺したのか。

──俺の一番大切な女の、大切な人を、二人も。


日野ちゃんから、お父さんと颯大さんを奪った人間と、俺は。

血が繋がっていたのか。


「は……」


乾いた笑いが、溢れる。

なんて汚らわしいんだ、俺の血は。



「私に出せる限界以上のお金を出して、もう終わったと思ったのに、まさかあんたたちが関わっていたなんてね」


俺の中に流れている血は、この女と。犯罪者と。その二つ。

綺麗なものは何一つ、無いのか。


「雄大。せっかく大切な人が出来たようだけど。……分かってるわよね?あなたたちが付き合い続けるのは、許されないのよ」


そんなの、
そんなの、


「雪那ちゃんだって事実を知れば、確実にあなたから離れるし。一生許せないでしょうし。……それとも雄大は、一生雪那ちゃんにそのことを隠し通して付き合うの?」


無理だ。そんなの。
分かってるよ。

だけど、どうしようもなく腹が立った。
この怒りを何処にぶつければ良いのか分からなかった。

……だって、全ての元凶の張本人は、もう既に死んでいるんだから。

良い気なもんだよ。

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