全部大好きなんだ。


そして朝会が始まれば、辺りはまだかまだかと話を始めた。


「朝会始めるよー。今日の欠席者は……」

「先生! 我がクラス唯一のイケメン、浜野君がお休みでーす!」

女子生徒のおちゃらけた声に男子達からブーイング。
楽しそうな光景はあまり嫌いではないけど、唯一のイケメンって。

みんなイケメンが好きなんだな、と感心してしまう。


「浜野は連絡が来てる。うん、今日は浜野だけだな。それじゃあ転校生を紹介しようか」

「はーい!」

楽しそうな生徒達を置いて廊下へと消えていく先生。

「いよいよだぁ」

隣の実咲もワクワクしているみたい。
でも、それでもしパっとしない男子だったら何だか気の毒にも思える。

「はい、それじゃあ今日からA組で皆と一緒になる辰巳翔くんだ。どうぞ」

先生の後について教室へ入ってくる転校生に、ざわつく教室が一瞬で静寂に変わる。
……え?

「辰巳翔です。よろしく」

ぶっきらぼうな挨拶を彼がすれば、再びざわめき黄色い声が上がった。
嘘だ……かっこいい。

イケメンなんて、と思ったけど予想を反して整った顔立ち。
茶毛の髪に右耳に光るピアス。

少し不良気のある辰巳君は、容姿端麗という言葉が似合う美男子だった。


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