全部大好きなんだ。
「待って……予想以上にかっこ良くてビックリしたんだけど……」
隣にいる実咲も、辰巳君に見とれて目を点にしていた。
「……うん」
私も、頷く以外に何も出来なかった。
アニメから出てきたような、完ぺきな顔立ちで。
「んじゃ、辰巳くんは緋色さんの隣の席に座ってくれな」
「へ?」
なんとイケメンは私の隣の席。
皆が羨ましいと叫ぶ中、私はなぜか動揺が隠せない。
辰巳くんが隣に座ると甘い香りがしてドキッとしてしまった。
な、なにこの人……
話したわけでもないのに、緊張する。
「……何」
「えっ? あ、いや! 何でもないです!」
相変わらず冷たい口調で私を見る辰巳君だけど、その睨む目付きすら綺麗だと思ってしまう。
イケメンなんて、とか全然言えないじゃん!
この学校のブレザーは紺色にオレンジのポイントネクタイと少しかっこいいデザインで、それを辰巳君が着ると数倍輝いて見えた。