あの日、君と見た青空を僕は忘れない

ガラッ


ゆっくり岡本の部屋のドアを開ける。


「あ…」


俺を見てそう言ったのは、前よりも少し痩せていて、頭に映画やドラマで見たことある医療用帽子をかぶった岡本だった。


もともと綺麗な顔立ちの岡本はそれでもよく似合っていて可愛い。


それなのに切ない気持ちになる。


「岡本…あのさ」

「…これね、舞ちゃんが選んでくれたの!」

笑顔で帽子に手を置いてそういう岡本。


見たかった岡本の笑顔なのに

ずっと見たかった笑顔なのに

その笑顔をみて泣いてしまいそうになる



「もーさ、黒田くんが知ってる私じゃないからさ」

「え?」


「どんどん弱っていくし、死んでるのか生きてるのかわかんなくなるし、とにかく私じゃなくなるの!…!!」


「…岡本は岡本だよ」


強くそう言い返す。


「お前はさ、見られたくないかもしんねー。でも、俺は、お前のことちゃんと知りたいから」


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