あの日、君と見た青空を僕は忘れない

「今日はプレゼントがあんの」

「え?!クリスマスプレゼントならまだ早いよ?」

「ちげーよ。クリスマスはクリスマスにちゃんとプレゼントやる」

「じゃ、なに?」


「ちょっと待ってろ」

俺はそう言って、担任から預かったパソコンを机に出す。

「え?!パソコン?!」

「慌てんなよ」

俺はDVDをパソコンにセットする。


────




『え?!もう撮ってんの?』

『撮ってる撮ってる、並んで!』


相沢や小池の声がパソコンから聞こえだす。


画面には、教室の後ろで集合してるみんなが映る。


『せーの!』

『岡本さん!お誕生日、おめでとう!!』

みんなが声を合わせてそう言う。


「え…うそ」

「お前、あさって誕生日なんだろ?」

「そうだけど…」

「担任から聞いて、みんなでビデオレタープレゼントしようって話になったんだよ」


「うそ…」

それから、クラス全員からのお祝いの言葉とお見舞いの言葉が流れた。


岡本は最初は我慢していたが中盤で泣き出してしまった。


『岡本、初めはめんどくさい奴と思っていたけど、学園祭が成功したのは全部岡本のおかげだ!本当にありがとう!早く帰ってこい!』


『岡本さんがいないと、教室がすごく静かで寂しいよ!黒田くんもいつも寂しそう!早く帰ってきてね!卒業式、一緒に出よう!』

『岡本さん、またクラスでタコパしよ!』


それからも、みんなの岡本を呼ぶ声は止まらない。



「…みんな」



終盤は相沢と小池だ。


『…幸ちゃん、あのね』

泣き出している相沢が映る。

「舞ちゃん…」



『大好きだからね!…みん…な、幸ちゃんのこと大好きだから!…早く帰ってきてね!待ってるからね!…ずっと…幸ちゃん!』

泣いてる相沢の背中をさすりながら、隣に小池がやってくるが、そんな小池も泣いていた。


『相沢さん!…泣いたらダメだろ!…俺たちは笑わないと…!…岡本の誕生日…だから!嬉しいから!』

『小池くんも泣いてんじゃん!』

『…泣いてねーよ!泣いてねー!』

『泣いてねーです!あー、もー!次!大翔!』

そして、俺が移り出す。

『あ?…俺はいいよ』

『んでだよ!おめでとう言え!』

『…いいよ』

『…言え!!』

『わーったよ……岡本、おめでとう。こっちは騒がしくいから、会いに行って直接言う。またな』

『はぁー?なんだそれずりぃー!』

『うるせーよ!』


俺と小池のやり取りを見て笑う岡本。


『よし、じゃあ、最後にみんなでー!』
小池のその声に合わせてみんなが

『岡本さん!待ってるよ〜〜』
と言いビデオレターが全て終わった。



岡本は泣きながらわらっていた。


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