あの日、君と見た青空を僕は忘れない
【side 大翔】

担任の先生や岡本の両親、病院の看護師や岡本の主治医、クラスのみんな。

たくさんの人に協力してもらうことになった、俺と岡本の結婚式。


いつ病状が悪化するかわからない状況の中、慎重に『結婚式』の準備が行われた。



「黒田くん」

ウェディングドレスの資料を片手に、病院に向かっていると、岡本のお母さんに声をかけられた。


「あ、どうも!」

「…黒田くんのご両親は結婚式のことなにも言わないの?」

「え?」

「幸に何かあって傷つくのは黒田くんよ?」

「…」

「嬉しいけど、黒田くんは幸より自分のことを優先してほしいわ。受験だって集中できないでしょ?」

「…俺は、行きたいときにいつでも大学に行けます。5年後でも10年後でも。でも、岡本は違います」

「…でも、無理はしないでね?」

「俺が会いたいから、俺が好きだから、するんです。自分のためなんです」


「…ありがとう」


そう言って岡本のお母さんが泣き出した。


お礼を言うのは俺の方なんだ。


岡本にたくさんのことを教えてもらって、人を愛することを教えてもらったから。



「岡本のこと産んでくれて、ありがとうございます」


俺はそう言って、頭を下げた。

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