あの日、君と見た青空を僕は忘れない
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「ちょっと」
授業が終わり、俺は岡本の腕を捕まえて、教室をでる。
そして、そのまま屋上に直行だ。
ブレザーから隠れてわからなかったけど、岡本の腕は意外とか細くて華奢だった。
「…痛いよ、黒田くんっ」
屋上に着くと岡本がそうので手を離す。
「何?」
「…わかんねーかな?」
「え?」
え?じゃねーよ。
「あいつら全員、生徒も先生も、みんな俺のこと嫌いなんだよ。なんで、あの空気にいてわかんないんだよ!」
「…そんなこと」
「あるんだよ!そんなことあるんだよ!入学したあの頃から、ずっとそうなんだよ!お前はいなかったからわかんねーんだよ!突然現れてなんなんだよ。みんなお前のこと嫌ってるぞ」
「……」
少しの間黙る岡本。
これでわかっただろ。
でも、いい終わって最後のは言い過ぎたと思った。
「そうだよ!何もわかんないよ?この学校のことも、クラスのみんなのことも…黒田くんのことも。だから知りたいの!早くたくさん知りたいの!ダメかな?」
「…そういうのうざいと思ってるやつがいるって言ってるんだよ」
「……でも、私は」
「人と違うことするっていうのは、大きなリスクがあるって言ってんだよ。高3から積み上げようったって遅いんだよ。…そういうの大学とか就職とか卒業してからもっかいすれば?」
「……今は、今だけでしょ?人生一回きりだもん。嫌われたって関係ない!」
そうだけど。
「あの時ああすれば良かったって思いたくないだけ!遅い分、がんばるもん!」
なんだよ…こいつ…。
「…勝手にしろ」
そういうのが精一杯だ。
負けた。
岡本の言い分に負けた。
だって正解だから。
全部合ってたから。
だから、余計、気に食わない。
「あ、明日、黒田くんのお弁当も作ってこようか?」
あ?
こいつ…どういう話の持っていき方だよ。
ちょっと落ち込むだろう。
「いい!まじでいい!いらない!」
「えーいつも何食べてるの?」
「カンケーねーだろ」
「知りたーい!黒田くんの食べてる物知りたーいー!」
うるせぇ、女。
「あ、ねぇ、黒田くん、見て!鳥が飛んでる!」
突然、空を見てそういう岡本。
「鳥は飛ぶもんだからな」
「へー黒田くん、かしこーい」
「ぶっ飛ばすぞ」
「今のもしかして、ぶっ飛ばすと鳥かけた?」
「あ????」
「黒田くん、すご〜い!」
バカにしたようにそういう。
「ちげーよ!アホ!!」
やっぱり、岡本のペースだ。