あの日、君と見た青空を僕は忘れない
そして、2日後。
幸は、2ヶ月ぶりに学校にやってきた。
「幸ちゃん!」
「岡本!」
担任の配慮があり、相沢と小池も一緒に屋上に来ることができた。
「では、私はすぐそこにいますので、何かあったら」
看護師がそう言い、屋上を出て行った。
見守っていた、担任の先生や幸の両親も出て行き、残ったのは、幸と俺と相沢と小池だ。
この4人で屋上に来るのは久しぶりだ。
「懐かしいなー!」
空に向かってそう言う小池。
「小池くん、4月から美容専門学校に行くんだって!」
相沢が幸に向かってそう言う。
「そっか…小池くん…専門学校か…」
と幸。
「あぁ!美容師なるんだ!岡本の髪も可愛くカットしてやるよ!」
「うんっ」
小さいな声だけど元気にそう言った幸。
「舞…ちゃん…は?」
「私はね、看護専門学校!」
相沢らしい。
「…みんな…頑張ってるね…」
「何言ってんだよ。岡本もすっげー頑張ってるじゃん」
「…ふふっ」
「にしても、すげーひさびさだなー」
「最近、4人とも受験勉強したり、それに今冬休みだし。全然集まらなかったもんな〜」
「集まる場所が、幸ちゃんの病室になったよね」
「あーそっか。そーだな」
少しの沈黙が流れる。
「…みんな、ありがとうね」
沈黙を破ったのは幸だった。
「思いっきり、残りの…人生楽しむんだーって思って。……高校にまた入ったけど…最初は空回りで…やっぱり、友情とか…恋とか…時間をかけなきゃ…築けないものなのかな…って感じてたけど。3人に出会えて……」
そして、幸が泣き出した。
小さな顔がくしゃくしゃになる。
苦しいはずなのに必死に話す幸。
こんなに苦しそうなのに。
こんなに頑張っているのに。
ガンが憎い。
「…友達になってくれて……ありがとう」
涙を流しながら、俺たちをまっすぐにそう言った幸を見て、相沢と小池も泣き出す。
そして、2人が駆け寄りって、車椅子に座る幸にハグをした。
ムカつくくらいに空が綺麗で。
幸がまた青空を見上げた。