あの日、君と見た青空を僕は忘れない
幸が亡くなったのは、屋上に行ったあの日から、3日目の夜だった。
その日は雪が降っていて。
「初雪だ」
なんて世間が喜んでいる中だった。
俺は幸の病室のベッドでぼーっと座り、窓の外に振っている雪を見つめる。
幸と見たかった。
幸と触りたかった。
幸と…。
幸と…。
悔しくて、悲しくて、苦しくて
俺は声を殺して、ベッドに拳をぶつけながら泣いた。
『くーろーだーくん!』
『ほら早く!』
『見て!』
俺の名前を大声で呼ぶ幸。
俺の腕を引っ張って走る幸。
空を見上げる幸。
全部が愛おしくて。
抱きしめたくて。
触れたくて。
「幸…幸…」
何度呼んでも、答えてくれない。
…?
泣きながら、顔を上げると、病室の棚に一冊のノートが残っていた。
これ……
幸の…
俺は涙を拭いて、ノートを開いた。