あの日、君と見た青空を僕は忘れない

目的地の公園に向かうため、電車に乗る。


「黒田くんのお父さん、優しいね」
突然、岡本がそう言いだす。

「お前の前だからだろ。実際そーでもねーよ」

俺ん家は、2人兄弟。兄がいる。

兄は社会人でうちにいないが、朝早くとっくにパートに出かけたお袋を合わせて4人家族だ。


「色々聞いたよ〜。黒田くんが学校に行っても授業受けない理由とか」


「はぁ?」

あの親父…余計なことを…


「でも、黒田くん、何も悪くないじゃん」

「…さぁーね」

「っていうかかっこいいよ」

「…うるせー。親父の言うこと間に受けるんじゃねーよ」

「正義感が強くて、優しい子だって言ってた」


いつも、俺がケンカから帰ってきたら毎回怒鳴ってた親父が俺のことをそんな風に言うとは思えない。


「黒田くんは優しいと思うよ!」

「だまれ」


あんまり大きな声でいうもんだから周りの目を気にしてそういう。


「…私があの時黒田くんに会ってたら助けたのに」

「助けとかいらないから」


あの時…。


それは2年前の入学式。

入学式の帰り、同じ新入生の人が別の高校の先輩にカツアゲされていたので、それを注意したのが始まりだった。

カツアゲされてた子を逃すと、あいつらは俺に殴りかかってきて、結局俺が3人ボコボコにしたんだが、ボコボコにした瞬間を近くの住人に見られ通報され、気づいた時には俺は加害者になっていた。


カツアゲされてたやつは、その日から学校に来なくなり、証言も拒否。

そのまま1年半前引っ越して転校してしまった。


彼が証言してくれれば、俺の謹慎もなくて済んだはずだけど…


まぁ、仕返しが怖いと思うと証言できない物なのかもしれないし、俺はもうそれを受け止めた。


でも他の奴らは違う。

別の高校からの噂などが広がり、
「俺がカツアゲをして脅し、止めに入った3人をボコボコにした」という感じになっている。

もともと加害者の通ってた高校は有名な進学だし、学校側も賢い生徒たちのそういう事件は信じたくないだろうし本人たちも否定してる。


見るからに悪そうな俺が悪者になるに決まってる。


だから、学校の奴らが嫌いなんだ。



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