あの日、君と見た青空を僕は忘れない
「黒田」
お昼休み。売店でパンを買って屋上にむかおうとしたら、誰かに声をかけられる。
去年の担任、松本だ。
1年の頃の担任は俺に会おうともしなかったが、松本は違った。
毎日俺の部屋にきて学校に来るように説得したり、勉強を見てあげると言ってくれたりした。
松本のおかげで、俺は学校に行くようにはなったものの、教室には一度も入らないで1年が経った。
「お前、最近頑張ってるな…」
「…どーなんすかね」
「岡本、必死だったぞ。お前をクラスの一員として迎えたいって。転入生の岡本の方が迎えられる側なのにな。優しくしてあげろよ」
松本は俺の肩をポンと叩いて行ってしまった。
優しくしろって…
迎えてくれなんて頼んでねーし。