あの日、君と見た青空を僕は忘れない
夏休み
「宿題?!ちょ、待てよ。やるかよ!」
夏休み初日、ファーストフード店で4人で集まる。
そして、これまた小池の提案で、宿題を小池ん家でやろうという話になった。
当然、宿題なんて小学校の頃からしてない俺は、反対だ。
学校でもあんなに勉強を頑張ったのだから、せめて、休みくらいゆっくりしたい。
「…だって、黒田、お前なー。自分の状況考えてみろー。絶対このままだと、卒業できないんだぞー?」
なんで俺の周りにはこう、余計なお世話をする奴らばかりなんだ。
「黒田くん、やろうよ!私たちも協力するからさ!」
「お前が協力だと?調子のんじゃねー!」
「同レベルの人がいた方が、絆が芽生えるでしょー?!」
「絆?フザケンナ!」
お店の中でそんな言い合いをする。
「はいはいはいはい!黒田くん!私たち、ただでやろなんて言ってないの」
「はい?」
めずらしく相沢が間に入ってくる。
「もし、宿題を今うちに終わらせることができたら…」
「できたら?」
バンッ
相沢がカバンからなにやらチラシを取り出して勢いよくテーブルの上に置く。
ん?
「二泊三日、海での別荘暮らしが待ってまーす!!!」
相沢が見せたチラシには、海と綺麗な建物が立っていた。
「バーベキューの材料とか必要な道具とかも安く借りられるし〜。なんと、私のおじさんが経営してるから、遊び放題ってわけです!」
俺は生唾を飲み込む。
バーベキュー。
海。
「行きたくない?黒田くん」
と相沢が意地悪な質問をしてくる。
「ったく、わかったよ、やらーいんだろ!やらー!ったくよ!こうなったらさっさと終わらせてやる!」
負けた。
誘惑に負けた。
「よーし!!それじゃあ、明日から俺ん家で勉強会だ!」