あの日、君と見た青空を僕は忘れない

「じゃあ、私、買い物あるから、こっちから帰るね。またね、2人とも!」

相沢がそういう。

本当に買い物なのだろうか。
無理して、違う道から帰ったりしてたら…。


なにがあったのかわからない岡本は「そっか!じゃーね!バイバイ!」と相沢に手を振る。



そして、相沢はくるっと振り返って歩いた。


なんで俺なんだ。

ただそう思った。



「黒田くん、舞ちゃんとなに話してたの?私たちがいない間」

「…はぁ?別になにも」

鋭い質問をする岡本に戸惑う。

「嘘だー。なんか2人変だもん」

「変じゃねーよ」

「変だ!」

「変じゃねー!」

「…黒田くん、舞ちゃんにはなんか優しいもんね〜」

「はあ?別に普通だよ。お前がアホだからお前には厳しんだろ?」

「はぁー?成績私の方が点数よかったし!」

「勉強の話じゃなくて、いろいろ鈍いっつってんの!」

「鈍くないもん!」

「鈍いだろ。なんで、小池が相沢のこと好きだってわかってて、お前が小池と外出るんだよ!」

「…それは」


「なんだ、お前もしかして、小池のこと好きなのか?」

「違うもん!」

「じゃあ、なんだよ」

「なんでも!」

「なんだよなんでもって。やっぱりなんも考えてないんじゃか」

「考えてるよ!屋上でダラダラ寝てばっかの黒田くんより考えてるよ!」

「何考えてんだよ。どーせ、ろくなこと考えてねーだろ。だから、空気読めないんだよ!自分のせいで誰かが傷ついてるのもわかんねーんだよ!」

「ひどい…」

「あ?どっちがだよ。こっちは毎日お前に振り回されてるっていうのによ」


「…嫌なら、こなきゃいいじゃん!嫌だって言いながらも来てくれるから、ほんとは楽しんでるんじゃないかって思ったのに!」


「嫌だよ!迷惑だよ!こっちは無理してんだろ?誰がお前らみたいな奴らと…」


「そっか…」

気づけば、岡本はボロボロ涙をこぼして泣いていた。


でも、なぜだかわからないけど、イライラした。


「…ごめんね、黒田くんの気持ち考えないで、振り回しちゃって」


岡本はそういって、早歩きで行ってしまった。



『ごめん』

その一言が出てこなかった。




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