あの日、君と見た青空を僕は忘れない
少ない命
【side 幸】

高3になる1ヶ月前の3月。



『余命あと1年』


先生にそう言われた私は決めたんだ。


あと、1年


一生分生きてやるって。




ガンだと宣告されたのは、高校に入学する3日前。


胃の調子が悪く、チクチクというお腹の痛みがあり、念のためで検査を受けて、「胃がん」だと宣告された。



10代で胃がんになるのはすごく稀で、極めて珍しいと先生が言った。


手術をして早めに治療すれば、75%の確率で助かる。


そう言われて、すぐに手術と入院の準備を始めた。



手術は成功して、家に戻ることができ、2年生に進級することもできた。


でも。



2年生の3月。
再発した。

その時、先生に言われた。



『余命1年でしょう』



パパは怒鳴って、ママはその場で泣いた。


当の本人である私は、知らない誰かの話でもしてるかのようにポカーンとしてた。



『余命1年だって』
『こんなに元気なのに』

そう笑った。


ありえない。


治るって言ったのに。

そう言ったのにって。


たくさん泣いたし、誰に当てたらいいのかわからない怒りもたくさんあった。


でも、あと1年なのに。


あと365日しか生きられないのに。



そんなこと思っても仕方ない。


そんな風に思えた。


ママやパパが落ち込んでる反面、私は平気だった。


『楽しい一年にしたらいい』


誰よりも、濃く生きてやる。

したいこと全部してやる。



そう思って、私は再度高校に入ることを決めた。




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