あの日、君と見た青空を僕は忘れない
──────

翌日、俺は屋上で寝転がりながら空を見上げる。


こんな気持ちだっていうのに、無駄に天気がいい。


昨日のことが嘘だったらいいのに。

そう思う。


今すぐにでも、岡本が走ってきて、俺の腕を引っ張りながら『ほら!授業遅れちゃうよ!』なんて言ってくれたらいいのに。



ガチャ


そんなことを思ってるといきなり屋上のドアが開いたので、驚いて体を起こす。



「斉藤…」


岡本ではなく、担任の斉藤だった。




「…先生も昨日聞いた」

斉藤は腰を下ろしながらそう言った。

「…残念だな」

「岡本はまだ生きてるから。残念とか言うなよ。岡本は生きるし」


人に言われるとムカついて、根拠のないことをいう。


「すまん。……先生も教え子が大きな病気をするとか初めてで…すごく戸惑ってる。怖いよ…。岡本が一番怖いはずなのにな。なのにあいつ、ずっと笑ってた…」

「…始業式の日、ここであいつにいきなり名前呼ばれて、すげー変な女がいるって思った」


「…先生も思ったよ。出席確認で黒田の名前を呼んだ時、声が聞こえなかったから『黒田は、休みなんですか?始業式なのに?風邪?』って聞いてきて。びっくりして戸惑ってたら、小池が『あいつは屋上で寝てるよ』って」

「チクったの小池なのか?!」

「…あぁ。お前のこと結構気にしてたぞ。みんなの前で言わないだけで」


今やっと、わかったこと。


「支える側の先生たちが落ち込んでたらダメだな。近いうち、先生も見舞いに行こうと思う。小池や相沢には今から個人で伝える。クラスのみんなには、その後だ。じゃ」


斉藤は屋上にいる俺を注意することなく、屋上を出て行った。



そうか……

支える側。


そうだよな。


一番辛いのは岡本だ。



俺やクラスのみんなが支えてやらないと。



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