あの日、君と見た青空を僕は忘れない
少しして、部屋から看護師さんが出てくる。
「あの…」
「黒田くんよね?幸ちゃんからよく聞いてるわ。さっきビックリしたでしょ?」
「あ、まぁ…手伝おうと思ったけど…」
「幸ちゃんも年頃の女の子だから。好きな男の子にああいう姿、あんまり見られたくないんじゃない?本当は嬉しいと思うから、わかってあげてね」
看護師さんはそう言って、病室をあとにした。
ガラッ
「…岡本、大丈夫か?」
「……うん」
「あのさ…今はすげぇ大変かもしんねーけど…」
「…悪いけど…黒田くん…今日は帰ってくれるかな?」
「え…」
岡本のセリフに言葉を失う。
「黒田くんはさぁ…自分のこんな姿、友達に見られたいかな?!」
自分が思ってるよりも、岡本はうんときつい。
今やっとわかった。
「…ごめん…」
「……ううん。嬉しんだけど、当分来ないでくれる?帰って」
「あぁ…」
俺はそう返事して、それ以上何も言わずに静かに岡本の病室から出た。
きつい岡本に。
俺は何もしてやれない。
悔しい。
岡本と一緒にガンと戦えないのが悔しい。