あの日、君と見た青空を僕は忘れない
【side 幸】
きついのは知ってたけど…
やっぱりいざ味わうのは違う。
だるくて、あちこち痛くて、気持ち悪くて。
このまま死んでしまいたい。
そんな気持ちに襲われる。
こんなに苦しいのなら、いっそ治療なんかやめて、残りの時間、好きなようにいきたい。
どうせ、こんなことしても治る保証なんてないのに。
泣きたくないのに。
涙が出る。
悔しいよ。
病気に勝てないなんて。
「オェ…ゴホッ…オェ……ハァ」
落ち着いてから、髪を触る。
髪が束となって、抜ける。
「…幸ちゃん…」
看護師さんがそばでそう声をかけてくれる。
「…わかってるんですけどね…やっぱり、嫌ですね…これは」
『ガンと闘ってる証拠』
なんて、どうでもよくなる。
楽になりたい。
苦しいのは嫌だ。
そんなことばかり考える。
「この治療を終えたら、少しは楽になるからね」
少しってどれくらいだろう。
本当にちょっとかな。
このまま死んじゃったりして。
消極的なことばかり頭の中で考えてしまう。