専務とお見合い結婚!?
問いかけに反応するわけでもないから、私は深いため息をついた。
お見合いが無事に終わって、家に帰れるのならそれでいっか……。
奥の部屋に案内されて、ふすまを開けるとすでに相手方は到着しているようだった。
まずお父さんとお母さんが中に入って、何度も何度も頭を下げている。
私は当たり前だけど、ふたりとこういう場はどうやら初めてのよう。
「失礼しま……」
最後に私が部屋に入り、頭を下げようとした時、スーツに身を包んだ男の人がニコニコしながら私に向かって手を振った。
「……はっ?!専務?!」
「今日は、かすみさんって呼んでもいいよね?」
涼し気に微笑む専務に、私の思考回路はショートしかけていて、何も答える事ができなかった。