専務とお見合い結婚!?
「いやー、まさか息子がお見合い相手に選んだのが我が社の社員だったなんて、驚きです」
「私たちは息子に一任していますので、そんなに固くならないで下さいな」
社長も社長夫人も、やわらかい笑みを絶やさない。
どこかの令嬢と政略結婚という勝手な固定観念を持っていた私としては、固くならずにはいられなかった。
……しかも、社長は『息子がお見合い相手に選んだ』って言ったよね?
つまり、専務が私を指名してきたという事?
「そろそろ、ふたりきりにさせてもらえませんかね?」
私が何か言いたいのを察知したのか、専務がそう申し出た。
「あ、気が付かなくてごめんなさいね」
「それじゃ、後は若い者同士で」
社長夫人と社長が立ち上がったので、私の両脇にいた両親も慌てて立ち上がる。