専務とお見合い結婚!?


風がすごく気持ちよく、火照った頬を撫でていく。


池には、真っ赤なもみじの葉が何枚も水面に浮かんでいて、これが風流というものなんだなとひとりで納得しながら眺めていた。



「月並みだけど……かすみの趣味って何?」


「趣味……?」



ボーっと池を眺めていたら、突然聞かれた。


趣味……か。


専務に聞かれて、私は首をかしげながらうーんと唸ってしまう。


私にはこれといって、人に話せるような趣味は持っていない。


休みの日はその日の気分で、ゴロゴロして過ごしたり、プラプラと買い物に出かけたりするから。


映画鑑賞も特別好きっていうわけでもないし、音楽を聴くというのもBGMとして流すくらいだし……。



「そんなに真剣に悩まなくても」



あれこれ考えていたら、いつの間にか難しい顔をしていたようだった。


専務がクスクスと私の顔を見て笑っている。


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