専務とお見合い結婚!?
何でも包み込んでしまいそうなほど、大きな手。
その手で、何人の女の人を抱きしめたんだろう?
「やめて下さいよ。さて、お昼行ってきますね」
「あ、そのうち時間作るから、オレと一度食事しないか?」
「え、結構です。専務の自慢話は聞き飽きたんで」
苦い顔を思いっきりしながら答えると、専務は苦笑した。
教育係をしてもらっていた時も、専務と何度か食事に行った。
食事って言っても、居酒屋がほとんど。
学生時代の恋愛話を嫌というほど聞かされていたし、またそれを繰り返し聞かされるのはウンザリ。
「今度は夜景の見えるレストランで、どう?」
「ドラマで聞いた事あるようなセリフですねー」
「夕べ見たドラマで言ってたかな」
「忙しいのでからかうなら他をどうぞ。失礼します」
とぼけた様子の専務を置き去りにして、私は財布を手に、部屋を出た。