専務とお見合い結婚!?
和服を着た、とても上品そうな白髪の女の人。
優しそうに微笑むその人に、私は頭を下げる。
「花屋が急病で、生けてる途中で退席してしまったので……。どこかおかしいところがあれば、おっしゃってください」
「工作用のはさみで大変だったでしょう?どこかで習っていたのかしら?」
「いえ、短大のサークルでかじった程度です……」
恥ずかしそうに答えると、女性はニッコリと笑った。
そして、かすみそうを一輪花瓶からとって、私に差し出してくる。
「あなたに生けてもらって、私には花が嬉しそうに見えるわ。良かったらもらっていきなさいな」
「え、でも……」
女性の気持ちは嬉しいのだけど、これは会社の花であってこの人の花じゃないし……。
「奥様。会長がお待ちでございます」
「あ、待たせていたわね。今行くわ」
キチッとスーツを着た秘書のような男の人が、女性にそう告げた。