専務とお見合い結婚!?
もうそろそろ、覚悟しなきゃいけないかもしれない……。
さっき専務が言っていたけれど、来年は30歳という節目の年。
そろそろ身を固めろと、周りからも言われているみたいだし。
どこかの企業の社長令嬢と政略結婚でもするのかもしれない。
そんな想像をすれば、チクチクと胸は痛むけれど、私が専務と同じ道を歩けるはずなんてないから。
専務に恋した時点で、この恋には敗れている……。
「ただいまー」
「おかえり、かすみ」
仕事が終わって、帰って来たのは午後9時をまわったところ。
毎日そうだけど、今日は一段と疲れた。
朝一で沙織の結婚話を聞いたせいかもしれない。
「かすみ、話があるんだけど」
「話?何……?」
「先に手を洗ってきなさい」
すぐに話を聞こうとリビングに入った私に、お母さんはピシャリと言った。