ボディーガードにモノ申す!
1、 3人の無害な男たちと、1人の最悪な男。


「干物女(ひものおんな)とは恋愛を放棄している、様々な事を面倒くさがり、適当に済ませてしまう女性のこと。出典、ウィキペディアより。

………………恋愛を放棄、当たってる。様々なことを面倒くさがる、当たってる。適当に済ませる、当たってる。

これって紛れもなく椿のことじゃないの?」


右手にはスマホ、左手には甘い甘いピンク色のカクテルを持った親友の清恵が鼻で笑いながらそんなことを言ってきた。
そしてだいぶ失礼なことを言われている私はというと、居酒屋の定番・魚の干物をほぐして口に運んでいるところだった。


ガヤガヤ賑やかな店内で、私は「は?」と聞き返す。


「私は別に恋愛を放棄した記憶も無ければ、面倒くさがりでも適当でもないんだけど」

「ほぉ〜……。秋本と別れたのは3年前よね?それから恋愛の話を一切聞かなくなったわよ?」


清恵から「秋本」の名前を聞くことになるとは思ってもみなかった。数年前まで付き合っていた大学時代の男の名前だ。
あの頃は若かった……。
懐かしさに目を細めていると、可愛らしい外見からは想像もつかないような鋭い視線を清恵が送ってきた。


「部屋は?ちゃんと掃除してるの?お風呂もシャワーで済ませてない?自炊してる?お弁当作ってるの?」

「…………………………えーっとそれは……」

「まさか、ホコリだらけの部屋で寝たりしてないでしょうね?シャワー浴びたあと素っ裸で缶ビール飲んでないでしょうね?コンビニ弁当で済ませてないでしょうね?」

「………………えーっと、………………」

「ほら見なさい、干物女でしょうが」


フワフワの天使のような見た目の清恵は、中身とギャップがある。
彼女は非常にズバズバ言いたいことを言う、オブラートという言葉を知らない女だ。
だけどそれが妙に波長が合うような気がして大学生の頃から仲がいい。
私もどちらかと言うと性格的には彼女に近いものがあるからなのかもしれない。


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