ボディーガードにモノ申す!
私と真山はツネさんに事情聴取を受けた。
私は被害者として、真山は関係者として話を聞かれた。
いつ連絡したのか、遅れて和代さんもやって来て関係者として聴取されることになった。
ひと通り話をしたあと、和代さんが話をしている間に廊下で待っていたら、三上くんが近づいてきてなにやら右手を差し出してきた。
なんだろう?
その手をのぞき込んでみたら、見覚えのあるピアスがあった。
「これ、椿ちゃんのだよね?」
問いかけにうなずくと、三上くんが「やっぱりそうか」とつぶやいた。
「貝山の所持品の中に、このピアスがあったんだよ。君を襲った時に手に入れたらしいんだけど……。確かにあの時、耳を怪我してたもんね」
こんな小さなピアスを大切に持ち歩いていたなんて、それだけでもゾッとする。
片方が無くなったそのピアスは、もう使えないと思って捨ててしまったんだった。
黙り込む私に、三上くんが続ける。
「証拠品として少しだけ警察で預かるけど、一定期間が過ぎたら椿ちゃんに返すから」
「いや、いい」
私が返事をする前に、先にそばにいた真山が遮るように答えた。
「それはそっちで捨ててくれ、コタロー」
「え、でも……いいの?椿ちゃん」
「いいんだよ。ストーカーが持ってたピアスなんて使いたくないだろ、普通」
私の気持ちを見事に代弁するように話してくれた真山は、「了解」と言って再び部屋に入っていった三上くんを見送った。