ボディーガードにモノ申す!
警察からの聞き取り調査を終えた私は、そのままの流れで真山にアパートまで送ってもらうこととなった。
口論をした手前、別に送ってもらいたくもなかったけれど、和代さんに無理やり背中を押される形で結局断り切れなかった。
でも、もう誰かにビクビク怯える必要もないと思うと心が驚くほどに軽くて。自分でも不思議なくらいだった。
「晴れやかな顔してるな」
打って変わったような私の表情を見て、真山がおかしそうに笑っている。
「当たり前でしょ?自由に動き回れるんだもの。好きな時に好きなように行動出来るのってこんなに幸せなのね」
「現金なやつだな」
「これで心置きなく杉田さんをライブに誘えるわ」
「は?杉田?」
唐突に出てきた隣人の杉田さんの名前に、彼は眉をピクリと動かして反応した。
ついテンションが上がって、大谷ドミソのライブのことを考えてしまった。思わず杉田さんのことを言ってしまったのはそのせいだ。
「おいおい、まさか隣の男とデキてる……ってわけじゃないよな」
「違います!たまたま好きなアーティストが共通してたの。それで、チケット取れたら一緒に行く約束してたのよ」
「あの杉田って男、明らかに君のこと好きじゃないか。それでも行くのか?」
「そんなの本人に聞いてもいないのになんで分かるわけ?」
わざとらしく腕を組んで、横目でチラリと真山を見やる。
ヤツは面倒くさそうに口をへの字に曲げていた。