ボディーガードにモノ申す!
━━━━━真山からの条件。
それは……。
『こんばんは、大谷ドミソです』
わぁっという歓声がホールに響く。
念願の大谷ドミソのツアーに来れたは良かったものの。
私はちっともライブに集中出来やしない。
なぜなら、右隣に杉田さん。
左隣に真山がいるからである。
どうして真山が来たのかと言うと、ヤツは心配だったらしい。私と杉田さんが2人でライブに行くことが。
それ以前にここまでハマる歌手のライブに行ってみたいという気持ちもあったらしいんだけど。
思っていた以上に心配症で、そしてわりと愛情深いのが真山タケルという男なのである。
「相変わらずいい声ですね」
ウィスパーボイスに聴き入る杉田さんにどうにか笑みを返して、私は逆隣の真山を見てみる。
退屈そうにあくびまでしている!
「だから来ないでほしかったのに。この声は大谷ドミソを心から好きな人にだけ味わって欲しいのよ」
「彼女が興味あるものを共有したいと思うのは自然な事じゃないのか?」
ぼそぼそと周りに迷惑にならない程度の声で、さらりと言ってのける神経が分からない。