ボディーガードにモノ申す!


やがて大谷ドミソのライブも終演に近づき、アンコールで出てきた彼が最後に歌った新曲のバラードがあった。


誰かを想う大切さや、支えてくれる周りの人達、それから愛しい人への溢れんばかりの気持ちが伝わってくる優しい歌。


あぁ、やっぱりCDよりライブがいい!
聞き惚れてうっとりする。


儚げで切ない歌声に聴き入っていると、すすり泣く声が聞こえてきた。


え?と思って、杉田さんをチラリとうかがう。
彼は大谷ドミソワールドに浸り、目を閉じて微笑みながら聴いている。
普通は大体コレよね。


まさか。


バッと逆隣を見てみると、真山が泣いていた。


「なんだよ……大谷ドミソめちゃくちゃいいじゃん……」


とかなんとかつぶやいてるし。


仕方なくバッグからハンカチを取り出して、ヤツに差し出してやった。
真山はそれを受け取り、懸命に目をこすっていた。


「どんだけ感情移入してるのよ」

「感受性豊かなんだ」

「…………ふふっ」


笑みがこぼれてしまったのは、やっぱりそうかと心の中で思ったからだ。


彼は本当は優しい人。
感受性豊かだからこそ誰かを守りたいと思うのだろう。
警備会社の社員というのは、彼にはある意味転職なのかも。
私と同じで外面もいいし。


そう思ったら親近感が湧いた。








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